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2005年07月02日

ネルソン・マンデラ氏のスピーチ:6月11日:全文和訳&動画(英語)

マンデラ氏スピーチ
ー2005年6月11日、ノルウェー・トロムソにて

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 「サウスアフリカのヨハネスブルグからノルウェーのトロムソまで、実に長い旅でありました。しかしここまで来られた事を幸せに思います。このコンサートを行うことで、みなさんは世界に対し、トロムソが貧困をなくしたいという意思があるという強いメッセージを発しています。そのことに今夜、みなさんは誇りをもってください。

今日、私たちの住む世界は大きく二極化しています。この世は、科学技術が高度に発達していながらも、いまだに薬が手に入らないために、数千万もの子どもたちが死んでいく世界です。知識と情報がめざましく高度化しながらも、いまだに1億人もの子どもたちが学校に通えないでいる世界に私たちは住んでいるのです。

私たちの住む世界では、エイズの蔓延の恐怖が私たちの生活の隅々にまで染み渡っています。その一方で、数千万人のHIV感染者が必要とする治療やサポートに必要なお金の額よりもっと多くのお金が武器に費やされています。この世は大きな約束と希望の地です。しかし同時に、病と飢えと絶望の世界でもあるのです。

3週間後、世界のリーダーがスコットランドに集まります。彼らはおそらく、世界がこれまでに直面した最も重大な問題に立ち向かうことになるでしょう。どうすれば世界から貧困をなくすことができるのか? 。私たち共通の未来は、このリーダーたちの働きにかかっているのです。今こそすべての人類の未来のために希望と可能性のドアを開く、歴史的なチャンスです。歴史と次の世代の子ども達が現代をどう判断するかは、数週間後に世界のリーダー達が下す決議にゆだねられているのです。わたしたちの子どもたちの命を救うよう、強く求めます。全ての子どもたちに健康を。もう少しで手が届くのです。何をしなければいけないか、何を犠牲にしなければいけないかもよく分かっています。そのために今必要なのはリーダーシップ、洞察力、それに政治的勇気です。

今夜、トロムソでみなさんとお会いするために、みなさんにアフリカそのものをつれてきました。私たちとみなさんの土地は遠く離れていますが、同じ人間性をもっていることを知っています。今週はトロムソのみなさんがその心を実証してくださいました。エイズの蔓延によって私たちが直面している課題が、実は地球上すべての人類にも影響してくる問題であることを、みなさんは理解してくださいました。

アフリカで私たちが抱える苦しみを共有することで、みなさんは私たちに希望と、可能性ある未来を広げてくださっています。この同じ人間性のもとに団結し、同時にまだまだ多くの課題が残されていることに気づきます。世界を二分する不平等によって、感染病に苦しむ何千万人もの人々は投獄されつづけ、その人生の可能性は奪われつづけてしまいます。世界中で確かに高まりつつあるうねりと共に、ぜひみなさんも声をあげてください。勇気と行動する意思を持たない限り、それだけ私たちの兄弟姉妹、子どもたち、孫たちは死を強いられることになるのです。この時代が歴史として振り返られるとき、私たちは世界の危機から背を向けた世代として記憶されることになるのでしょうか、それとも正しい道を選んだと記録されるのでしょうか。

私たちが共有する人間性とそれにともなう全てのことを、勇気をもって認識して下さったトロムソのみなさんに感謝します。このリーダーシップを記し、トロムソを最初の46664*大使の市とします。

何年も昔、私の長い旅路はまだ終わっていないと申し上げました。今夜ここに集い、この旅路を歩んでいるのは私たちだけではないことを知り、非常に元気づけられました。この試練を受けて立つことで、みなさんはすでに私たちと一緒、つまり、アフリカ人となった**のです。

おやすみなさい。 ありがとうございました。」

*「46664」: マンデラ氏がアパルトヘイト政権下で投獄されていた時代の囚人番号。現在もアフリカを蝕む貧困やエイズの蔓延が、アパルトヘイトと同様に差別と抑圧が原因で起こるとの認識から、「貧困という監獄から人々を開放する」ことを目指し、貧困・エイズと戦うキャンペーンの名前とした。

**「アフリカ人となった」: ここでは、「貧困と戦うために手を取り合い、立ち上がる人々」の象徴として、「アフリカ人」という言葉を用いている。

投稿者 sustena : 2005年07月02日 00:55

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