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2005年07月07日

プレスリリース2005年7月5 日「アフリカ支援」:G8に突きつけられている本当の課題

各首脳がグレンイーグルスに到着し、いよいよ明日、G8首脳会議が開幕します。G8財務相会議やシェルパ会議などで準備が進められてきており、議長国の英国も「(アフリカ支援に関して)目標は達成されつつある」と強気の姿勢を見せています。
貧困の克服を求める世界規模の市民社会運動「Global Call to Action against Poverty(GCAP:日本では「ほっとけない世界のまずしさ」という名前で活動)」では、ミレニアム開発目標(MDGs)達成に先進国が守らなければならない約束に照らして、G8で話し合われようとしている内容が適切なものかを審査しています。以下は、債務、援助、貿易の各議題について、今回のG8で話し合われていることと、本来なされなければならないことを比較します。

1. 総論

1. 総論
サミットが英国の思惑通りに進んだとしても、「アフリカ支援の重要な問題はすべて解決された」と考えるのは間違いです。貧困問題はアフリカに限られているのではなく、貧困を抱えるすべての国に対して先進国の積極的な取り組みが求められています。援助、債務、貿易のどれをとっても、貧困問題の解決には程遠いものであり(詳細は以下を参照)、サミットはもっと野心的な貧困削減策を論じるべきです。

2. 債務
6月のG8財務相会議で、「18カ国(アフリカ14カ国)の債務完全帳消し」が合意されました。これは重債務貧困国(HIPCs)プロセスを終了した国に、これらの国が世界銀行、IMF、アフリカ開発銀行などの多国間機構に負う債務の即時全額免除を行うというもので、今後このプロセスを終了し次第、合計35 前後の国が免除を受けられるようになる可能性があります。

市民社会の評価:
1. 貧困削減の観点から債務帳消しの必要性の原則が打ち立てられたと言う意味で、重要。
対象国にとっては貧困削減のために活用できる資金が発生することを意味する。

2. しかし、貧困の克服のために債務の重荷から開放される必要のある国は全部で60カ国以上あり、今回の合意の対象国は少なすぎる。

3. 「400 億ドルの全額免除」が大きな額であると言われているが、重要なのは2006年以降これらの国にとっていくらの開発資金が発生することになるのかです。40 年間にわたっての免除と言うことは、18 カ国合計で毎年15 億ドルの新資金を獲得したに過ぎず、国連などが求めている即時の年間500億ドルの追加資金にはほど遠い額です。

4. もし62 の貧困国が債務免除を受ければ、年間100 億ドルの債務免除が必要です。


3. 援助
議長国・英国は、「(これまでにEUその他の先進国が打ち出している援助政策もあり)今回のG8でアフリカ委員会の報告書が求める2010 年までの250 億ドルは用意できるだろう」との強気の姿勢を見せています。これには、6月にEU が決定した「2010年までの援助額400億ドル追加」と、米国が打ち出す10 億ドルなどを根拠にしています。今後首脳会談の中で、とくに日本とカナダの動きに注目が集まるでしょう。

市民社会の評価:

1. アフリカ委員会報告書は「2008 年までに250億ドル、2010 年までにさらに250 億ドル」の追加援助がより望ましいとしており、アフリカのニーズに照らした時にG8はこちらの目標に合わせて議論をすべきです。

2. アフリカを含めた途上国への支援総額としては、2002 年の世界銀行による報告、2005 年の国連ミレニアム・プロジェクトによる報告書などで、MDGs 達成のために各途上国が貧困対策に関わる各セクター(基礎教育、基礎保健、感染症対策など)で抱えているニーズ、各国の援助吸収能力などを注意深く調査した結果、「即時の500 億ドル増額、および先進国のGNI比0.7%目標達成のためのタイムテーブル確立」を求めています。(2002 年のカナナスキス・サミットにおいて、「追加援助額の半分はアフリカに振り向けられる」ことが合意されています)

3. 500 億ドルの追加支援を各国の経済規模に合わせて負担した場合、GNI 比平均0.3%前後になりますが、これは1989 年時点に先進国が拠出していたのと同じレベルであり、「大変な額」ではありません。途上国において民主化が進み、基礎保健、感染症対策、基礎教育無償普通化に向けた国際的な枠組みもできるなど、援助を効果的に活用できる道筋が見えてきた今こそ、先進国は必要な額を提供すべきです。


4. 貿易
「ほっとけない世界のまずしさ」が入手している情報によると、貿易については別個に生命が発表され、以下のことについて言及されることが見込まれています。
1) 輸出補助
2) 市場開放、自由化の規模とペースに関する途上国政府の自決権
3) 貿易に対する援助
これらのいずれも、非常に弱い表現が使われる、とのことです。G8は貿易のルールを決める場所でもないので、あまり期待しても仕方がないという見方もあります。しかし、ジュネーブでの交渉は滞ってしまっている今、現行の国際貿易体制が途上国に対して非常に不公正なものであり、その中での主要な問題についてG8が真剣な姿勢を示さないことは、WTO の途上国メンバーに非常に悪いメッセージを送ることになり、12月に行われる香港閣僚会議に影を落とすことになるでしょう。

「ほっとけない世界のまずしさ」キャンペーン
http://www.hottokenai.jp

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投稿者 sustena : 2005年07月07日 00:51

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